志ん生さん

谷中銀座の小さな本屋を入って一番奥の壁際に、店主の趣味であろうセレクトコーナーがある。場所がらか落語関連の本が充実しているほか、高橋竹三のCDと「津軽三味線ひとり旅」が並べて置かれていたりして、衝動買いマインドをそそる。

落語は今まで興味なかったのだけど、せっかくこの場所に住んでいるわけだし、とりあえず地元で一番有名な人に触れてみようてんで、「びんぼう自慢」とCDをレジにもっていく。店のおばちゃんは、「志ん生さんのアレね、税込み○×3円だけど、○×0円でいいわ」と端数をおまけしてくれる。新刊書店でそんなサーヴィスを受けたのは初めてだったので、ちょっと嬉しくなる。

今は、ちくま文庫志ん生の噺」全五巻を読んでいる。

"だから人間というものは、出来ることしかァ出来ない。心配することもなんにもない。ただスーッと、世の中を心持ちよく、えー、生きるだけ生きて“さよならッ“てなこと言えば、それでいいんです。あー、ねえ、その間にいろいろ心配したり、苦労したりすることはねえんです"(志ん生人情ばなし)

これだよこれ、こうやって生きてたいんだよなぁ俺は。